カテゴリー「経済・政治・国際」の89件の記事

2013/02/11

読書録:今野晴貴「ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪」

 大学で労働法を専攻しながら関連NPOで労働法関連の相談を行ってきた、という著者の経歴からすると、仕方がないのかもしれないが、法規制によってブラック企業を取り締まる、という主張に中々、同意できない部分がありつつ、読み進めた。

 著者が指摘するように、現時点で労働法は交通法と同じくらい遵守が不可能な法体系になっていて、日本の企業はすべてがブラック企業になりうる可能性を持っている中、意識的、戦略的に法の網目をかいくぐる企業が増える一方なのだから、法規制を強めたところで、脆弱な企業の労務管理コストがかさむ一方、真のブラック企業は対策を立てるだけだろう、と。

 たとえば、著者は、対策の一例として、欧州では退社後11時間以内の出社が認められない、と紹介するものの、日本で今、同じことをやったら、持ち帰りの残業が増えるだけ、というのは想像に難くないし、書中でも紹介があるように、守秘義務とかの関係を考えると、単純に仕事を持ち帰るための新たな仕事を生むだけだと思うんだがね。
 公的な職業訓練を充実させるべき、とか言っても、それって今、普通にやったら、書中でも批判されてる希少価値の少ない資格試験の保有者を増やすだけで、一層、使い捨てを増やすだけな気もするしね。

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2013/01/06

McDの60秒って別に回転率向上に寄与しなくね?という話

 はじめは、Yahoo!のヘッドラインか何かで見かけて、大して気にもせず、その後、ツイッターとかでもちょっとバズってたんで、改めて読んでみて、なんか、ずいぶんと見当違いな気がするなー、と感じた記事、「マクドナルドが始めた60秒ルール導入に見る、外食産業の生き残り戦術!」(株ニュースの新解釈|ザイ・オンライン)

 本来は実店舗の観察だとか、公開されてるプレスリリース、IRの類や、他の雑誌記事なんかも収拾した上、できれば、関係者(社員さんとかヘビーユーザー)に聞き取りまでしてから、「違うんじゃねーの?」と批判すべきかもしんないですけど、そもそも、最初、ヘッドライン見たときにスルーしたくらいマクドナルドに興味もないんで、まあ、思いつきと憶測だけで、ぐだぐだと机上の空論でしかない、個人の感想を書いてみる。
 てか、最初は普通に経済評論の記事かと思ったんだけど、ここに書くためにパーマリンク取ろうと記事本体サイトに行ってみたら、ダイヤモンド社つっても本体じゃなくて、株式とかの投資情報サイトで、筆者さんの経歴も商学部→証券会社→大学准教授って方なので、あくまで投資対象としてのマクドナルドや類似業態の動向を探る(そもそも参考にすべき類似業態とは外食なのか、異業種別銘柄なのか)ってのがポイントで、あんま実際の商売には興味ねーのかな、とか。

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2012/12/31

読書録:荻上チキ「彼女たちの売春(ワリキリ) 社会からの斥力、出会い系の引力」

 社会福祉の対象としての売春婦、という視点にひっかかったのは、次のブログ・エントリを読んだときだった。

 生活保護とシングルマザー - キリンが逆立ちしたピアス (id:font-da)

 ちょうど、今年の6月くらい、生活保護者への世間の風当たりが強くなっている頃。
 このエントリを読んでの感想としては、おそらく、ここで紹介されているような女性に現実世界で知り合って、このような発言をされたら、まったく同情も共感もしないだろう、ということ。それでも、あるいは、それだからこそ、彼女たちには公的な支援が必要なのだろう、ということ。
 自分が個人として、彼女たちを支援したいとは思わないし、おそらく、世の中の大半の人がそう思うのだろうけれども、でも、彼女たちが一人の人間としてこの世に生きている以上、その不幸を連鎖させないためには、誰かが助けなければならないだろうし、その助ける行為に税金が突っ込まれることは、まったく否定すべきじゃない。
 それを偽善と言われようが、独善と言われようが、自分の手で助ける気にはならないけど、他の誰かが助ける、というのなら、その手助けくらいはできるだろう、と。

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2012/09/28

読書録:板谷敏彦「日露戦争、資金調達の戦い」

 川田稔「昭和陸軍の軌跡 - 永田鉄山の構想とその分岐」(amazon)、森山優「日本はなぜ開戦に踏み切ったか: 「両論併記」と「非決定」 」(amazon)を読んだ後、第2次大戦前夜における開戦の意志決定モノとしては、片山杜秀「未完のファシズム: 「持たざる国」日本の運命」(amazon)も読んでいるのですが、イマイチ、腑に落ちないことも多く、もう少しマトメてから感想を書こうと思っていたら、すっかり詳細な内容も忘れてしまった、という。。。

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2012/08/12

読書録:森山優「日本はなぜ開戦に踏み切ったか」

 第2次大戦前史ものとしては、前に読んだ川田稔「昭和陸軍の軌跡」が、なかなか興味深くて、自分の中で整理してから、ここに感想を書こうと思っていたら、結局、放置してしまっている。

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2012/01/02

読書録:東浩紀「一般意志2.0」

 一度読んでみて、あまりスッキリと腑に落ちなかったので、2度読んでみたのだが、結局、あんまりよく分からなかった。現代思想や政治思想、西洋哲学の世界では当然のこととして理解されている共通事項の理解が足りないせいかもしれない。

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2011/12/17

読書録:與那覇潤「中国化する日本」

 現代日本の諸課題を西洋化の失敗ではなく、源平合戦以来の中国化の失敗の累積として読み解く、若手歴史学者による著書(自分より若い!)。 

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2011/10/10

読書録:スコット・シェーン「<起業>という幻想」

 起業、創業、アントレプレナー、ベンチャーといった言葉が想起させるものと、自営業、個人事業主、家族経営の零細企業といった言葉が想起させるものの違い。
 本書は研究対象として、アメリカを中心としているが、前者のイメージに駆られた様々な起業支援施策の大半が実際には後者の支援に終始しており、結果として、財政の浪費に終わっているだけでなく、資本主義の淘汰の原理を弛緩させることにより、産業全体を不活性化しているのではないか、との指摘。
 経済全体を駆動するのが新しい産業ではあるとしても、それはごく限定的な特殊な起業がもたらすものであって、実際には創業が多いから経済が前進するのではなく、経済が上向きだから需要が広がり創業が増えるのだ、と。

 日本語訳の選び方の問題かもしれませんが、多くの日本人にとっては冒頭に掲げた前者と後者のイメージの差は明確に分かれていると思われるし、産業振興施策としても、明確ではないにもせよ、一応、ラインは引かれている・・・と思うんですけどね。
 むしろ、世の中全体を駆動する真の新産業創造者をどのように見つけ出し、支援していくか、という部分がもっと知りたいと思いました。

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2011/10/09

読書録:石井彰「エネルギー論争の盲点」

 本書については、発売と前後して多数、評論されている通り、3.11以後の電力不安の中で、やたらと再生可能エネルギーが救世主のように注目されていることへの論理的な批判として大変、評価できるかと思います(そう言う意味では、新エネ・ブームはやや後退した感もあり、ちょっと読むタイミングが遅かったかも?)
 著者のバックグラウンドもあって、やたらと天然ガス寄りのスタンスにも見える点もあり、サブタイトルが「天然ガスと分散化が日本を救う」とあるのに、その後者の視点、著者が主張する、あくまでバランス重視の分散化、というのがどの程度、読者に理解されるかは、疑問ですが。

 ここまでは既に色んな評者の方が指摘されている通り。
 個人的には、新書なんでこんなもんかとも思いつつ、エネルギーの歴史的変遷について、もう少し統計的な資料を集めて数字で検証してくれてもよかったんじゃないか、という気がしますが、どうやら「あとがき」や著者の経歴を考えると、その辺は、著者が主眼とするところではなく、孫引きな話も多いようなんで、いくつか本文中でも言及している参考文献を読めばいーのかな、と。リチャード・ランガムの本とか、ピーター・アトキンスの本とか、面白そうです。
 あと、これはもう本当に感想レベルの話で、ロシアからの天然ガスパイプライン計画が頓挫したのは、政治的な要因(内政ではなく、外交)が大きいと思うんですけども、本書ではどの国からでも輸入できるのでバランス重視で、と言いつつも実際、その辺、どこの国から輸入してくのがベストなんでしょうね。

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2011/07/31

敵の敵は味方に見えてやっぱり敵

 なんか、震災と前後して、一連のK-POPブームに対する反動か、ネット上で韓国寄りメディアへの批判的な声が目につくようになっているなー、とは思ってたんすよ。
 で、その動きが、高岡なんたら言う人の発言で、少なくともネット上でも、アンダーグラウンドから、やや日の当たるところに出てきたのかな、と。

 ただ、なんか、彼については、よく知らないのだが、別に今まで、そんな右寄りキャラで売ってた人とも思えず、なんか、違和感あったんですよね。

 というところで、ふと思ったのは、反韓=右翼っぽく見えるけれども、日本においてはずっと左翼=北朝鮮シンパなワケで、我々、日本人には、韓国・北朝鮮・在日のそれぞれの距離感が分かりづらいんだけれども、実際には、反韓=親北朝鮮=左翼、という構図もありうるんですかねー、とか妄想してみる。
 で、北朝鮮シンパの人たちにとっては、日本より、韓国の方を憎悪してると考えれば、韓国人気の台頭で一番ダメージでかいのは、確かに北朝鮮とその支持者だよねーとか妄想してみる。

 あ、ちなみに、個人的に、K-POPとか韓国ドラマに対する立ち位置は、レベルが高ければ見るかもしれませんけど、そこまでのレベルじゃないよねー、というのが1点。あと、個人的に、面食いでかつ立体的な顔が好きなんで、まあ・・・というのが1点。

 ビジネス的に考えれば、10年くらい前、日本のホラー映画をハリウッドがリメイク権、買ってましたけど、それと今回は似た現象で、まあ、アレですよ、外国でヒットしているものを買い付けてくれば、爆発的なヒットはしなくても、一定レベルの成功は確実に期待できる、と。漫画原作のドラマとか、メディアミックス、タイアップとかと同じ論理ですね。本当に面白いものを作るには、一定の独創性、オリジナリティが必要で、つまり、ああゆうものを利用することで、コンテンツメイカーとしては死んで行くんだけど、目先の利益は確保できる、と。
 あ、あれだ、日本の問屋が商社化して、メーカー機能を失ったのと似てるかもしれませんね。

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